書籍・雑誌

アニメにもロケハンは必要、アニメ映画「イノセンス」のニューヨークと書籍「他力本願」

イノセンス スタンダード版 DVD イノセンス スタンダード版

販売元:ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント
発売日:2004/09/15
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アニメ映画「イノセンス」(脚本・監督は押井守)

実写のようなアニメ映画。

実写映画「ブレードランナー」(リドリースコット監督)を思い出す。

人間、ロボット、魂。アニミズムが漂い、セリフが禅問答のような作品。

一方、書籍「他力本願」(押井守著)の第2章は妄想力。

他力本願―仕事で負けない7つの力 Book 他力本願―仕事で負けない7つの力

著者:押井 守
販売元:幻冬舎
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2章には、「ロケハンでリアルな風景を肉体に刻み、画面の中に空気を生み出す。」というタイトルがついている。

押井守監督によれば、「アニメは実写以上に、現実をベースに妄想を積み上げていくことが大切」とのこと。

だから、アニメにもロケハンは必要なのだ。

アニメ映画「イノセンス」の場合、妄想の原点となった場所はニューヨーク。

ニューヨークは、近代美術館の球体関節人形、チャイナタウン、摩天楼など。

アニメのロケハンは、「その場で何を感じたか。」という点が重要なのだという。

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映画「海は見ていた」、ワープステーション江戸など。

海は見ていた オリジナル・サウンドトラック Music 海は見ていた オリジナル・サウンドトラック

アーティスト:東京コンサーツ
販売元:カメラータ・トウキョウ
発売日:2002/07/20
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映画「海は見ていた」(熊井啓監督)

脚本は黒澤明。

出演は、清水美砂、遠野凪子、永瀬正敏、吉岡秀隆、石橋蓮司、奥田瑛二ほか。

原作は山本周五郎の「なんの花か薫る」と「つゆのひぬま」。

日活90周年記念作品で、プロデューサーは猿川直人。

映画の舞台は江戸時代の深川。

幕府非公認の岡場所だ。

身分制度も手伝ってか、武家育ちの若侍は、苦労を知らず、人の痛みがわからない。こういう世間知らずは、ただでさえ哀しいものだが、そこに悪意がないが故に、なおさら始末が悪い。

生前、黒澤明監督は、「一度も踏み外したことがない、正しく生きてきたのだと驕った考えの人間は恐い。少しでも痛い目に遭わないように生きてきた人だから、人の痛みがわからない。信じられないような、冷酷なことをしているのにも気付かない。でも、折り目正しく優しそうに見えるからなお恐い。」と話されていたようだ。(黒澤和子著:『黒澤明「生きる」言葉』より)

黒澤明「生きる」言葉 (PHPハンドブック) Book 黒澤明「生きる」言葉 (PHPハンドブック)

著者:黒澤 和子
販売元:PHP研究所
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一方、不幸な境遇でも、健気で美しく、心根のやさしい女郎の娘。

そして天涯孤独で不遇の連続だった青年。

この二人の出会いは希望という言葉そのもの。その希望を繋ぐのは粋の精神。お侠な姐御の心意気が生み出す粋だ。

ラストシーンは、世の不条理を飲み込む大洪水と満天の星空。

映画は日本の時代劇で、まさに和風なのだが、ビートルズの「ヘイジュード」を思い起こさせる。

人類に普遍の愛の賛歌だ。

また、大洪水に浮かぶ、今にも壊れそうな小舟は、まるでノアの箱船のよう。

ロケ地は、ワープステーション江戸など。

映画のシーンは、ロケセット(岡場所)から動かない。それゆえに、閉ざされた暮らしが実感され、岡場所の女郎たちの立場が伝わってくる。

エンドクレジットの協力には、

東京ロケーションボックス、神代植物公園、ワープステーション江戸、浦安市郷土博物館、富岡八幡宮神輿総代連合会、葛西囃子保存会ほか。

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映画「キッズ・リターン」、書籍「淀川長治の究極の映画ベスト100」、寺岡精工、後楽園ホール、金子ボクシングジム、なんばグランド花月など。

キッズ・リターン DVD キッズ・リターン

販売元:バンダイビジュアル
発売日:2007/10/26
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映画「キッズ・リターン」(監督・脚本・編集は北野武)

出演は、金子賢、安藤政信、森本レオ、寺島進、下條正巳、石橋凌、丘みつ子ほか。

プロデューサーは、森昌行、柘植靖司、吉田多喜男。

音楽監督は、久石譲。

1996年、カンヌ国際映画祭の監督週間に正式出品。

この映画の解説が、書籍「淀川長治の究極の映画ベスト100」に掲載されている。

淀川長治 究極の映画ベスト100 (河出文庫) Book 淀川長治 究極の映画ベスト100 (河出文庫)

著者:淀川 長治
販売元:河出書房新社
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本の中で、淀川長治さんは、

「二人の若者が、一人は前向き、もう一人は後ろ向きになって一つの自転車に乗るシーン」に

なんともいえぬ淋しさを感じ、「あてがない二人」と記している。

そして、「これは男の映画」だとも書いていた。

後輩おもいの振りをして、実は後輩を踏み外させる先輩ボクサー。ああいう話の展開がこの映画に現実味を与えている。

映画は現実的。だから終始、焦燥感が漲っている。

ボクシングジムに漂う不安感、行く当てのない苛立ち、それでいて、力のあるものにすがりたい気持ち、それらは自由の代償でもある。

そして、ラストシーン。

行き場を失うなかで、二人とも前向きになって一つの自転車を漕いでいる。

「俺達、もう終わったのかな」、「まだ始まってねえよ」という二人の言葉のやりとりに、どん底からはい上がる力が潜んでいて、身につまされるような焦燥感がどこかへ昇華していった。

協力は、(株)寺岡精工、後楽園ホール金子ボクシングジム、大阪は千日前商店街にある「なんばグランド花月」ほか。

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プレスコード(報道遵則)の検閲が終了した1952年の広島でほとんど全てロケーション撮影された映画「原爆の子」

Dsc02959

(写真は数年前に撮影した原爆ドーム)

映画「原爆の子」(新藤兼人 脚本・監督)

出演は、乙羽信子、滝沢修、宇野重吉、細川ちか子、清水将夫、東野英治郎、北林谷栄、小夜福子など。

協力出演は、原爆の乙女たち、その他、ヒロシマの少年少女、学生・市民・勤労者ほか。

1955年に英国アカデミー賞の国連賞、また第18回チェコスロバキア国際映画祭で平和賞を受賞。

近代映画協会と劇団民芸が資金を出した共同作品。

日本は戦後、6年8ヶ月もの間、占領されたことは周知のことである。

だが、その間、連合国最高司令官総司令部(GHQ)の占領政策としてプレスコード(報道遵則)があったことは、今日、あまり語られていない。

このプレスコード、1945(昭和20年)年9月19日にGHQが出した覚書なのだが、特に、原爆に関してはきびしい規制が加えられ、1952(昭和27)年4月の日米講和条約の発効まで約6年8ヶ月続いた。

そのプレスコードの検閲が終了した1952(昭和27)年に撮影がスタートし、同年の8月6日に映画「原爆の子」の完成試写会が行われたという。(広島フィルム・コミッションの知人による)

新藤兼人監督が、1952(昭和27)年に自主制作という形で作品を完成させたのは、そういった社会的背景があってのことであり、そういう意味では、瓦礫の中で見つけたジャーナリズムの宝石のような映画。

協賛は、

広島電鉄(株)瀬戸内海汽船(株)、広島市の国泰寺中学校、西能美島(現:江田島市、旧:沖美町)の三高中学校、広島の新生学園、日本私鉄労働組合総連合

当時は、”協賛”という言葉をつかっている。(今日の”協力”といったところだろうか。)

(広島フィルム・コミッションによると、国泰寺中学校では、中学校の生徒も含めて子役のオーディションが行われたという。また、映画に出てくる瀬戸内海の島は、三高中学校のある西能美島。)

後援は広島市、ヒロシマピースセンター

原作は、広島の原爆を体験した子供たちの作文集(「原爆の子 広島の少年少女の訴え」(長田新編)。1951(昭和26)年に岩波書店より刊行。)で、それをもとに新藤兼人が脚本を書いている。

1952年の広島でほぼ全てがロケーション撮影されていて、実際に被爆した方々の姿や復興前の瓦礫の広島が映像で残っている。

「広島平和記念都市建設法」(1949(昭和24)年8月6日公布)によって建設されることになった広島平和記念資料館(1951(昭和 26)年3月着工)も、その建築現場がロケーション撮影の現場となっている。

また、「人影の石」もまだ資料館の展示物となってはおらず、映画では、実際の現場(爆心地から260mの紙屋町)が映っている。(後に、住友銀行広島支店から寄贈されたのだろう。)

このように、焼け野原となり瓦礫が残る広島でオールロケーション撮影された映画なのだが、広島フィルム・コミッションの知人によるといくつか例外もあるそうだ。

例えば、教会で少女がベッドで寝ているシーンは東京のセットで、寝ていた少女は広島の少女。(現在もご健在とのこと)。また、その少女の実家の旅館(今はない)は撮影スタッフやキャストの宿泊所として使われたという。

それから、火事で焼けてしまうお祖父ちゃんの小屋は、広島城の近くの草ッ原の草を刈って、そこにオープンセットの小屋を建てたそうだ。

「(広島フィルム・コミッションが)地元で関連する映画を上映する映画祭を立ち上げ、実行委員と一緒にあれこれしている中で掘り起こされたお話です。」とのこと。

地元ならではの貴重なお話で、広島フィルム・コミッションの活動がこういったかたちでも活きている。

Dsc02961

写真は、数年前に平和記念公園で撮影したもの。

広島平和記念資料館が写っている。

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台湾と日本、映画「悲情城市」と司馬遼太郎「街道をゆく(40)台湾紀行」、映画の舞台は基隆(Keelung)など、ロケ地は九分(Jiu Fen)など。

悲情城市 DVD 悲情城市

販売元:紀伊國屋書店
発売日:2003/04/25
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映画「悲情城市」(侯孝賢(ホウ・シャオシェン)監督)

英語の題名は「A CITY OF SADNESS」

ベネチア国際映画祭金獅子賞。台湾の金馬奨で最優秀監督賞と主演男優賞を受賞。

そして、台湾といえば、司馬遼太郎の著書「街道をゆく(40)台湾紀行」

街道をゆく (40) Book 街道をゆく (40)

著者:司馬 遼太郎
販売元:朝日新聞社
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台湾というと、まず思い浮かぶのがこの名著だ。

台湾は日本と同じ島国。

たとえば、沖縄の与那国島などに行ってラジオを聞けば、台湾の放送がはっきりと聞こえてくる。

それだけでも台湾に親近感がわいてくるのだが、書籍「街道をゆく(40)台湾紀行」を手にすると、台湾は友だちなんだという気がして、なんだかうれしくなってくる。

だから、映画「悲情城市」の”1945年に太平洋戦争終戦を告げる玉音放送が台湾で流れるシーン”は印象的だった。

その時、台湾が望んでいなかったとしても台湾は確かに日本だったし、逆に言えば、日本は現在よりももっと多民族国家であった。

映画のシーンでは、台湾の暮らしが日本風である。

畳に床の間、障子があり、日本らしい家具も揃っている。

現在の都会化した日本よりも日本らしさが感じられた。

映画は、太平洋戦争後に、中国大陸から渡ってきた外省人が、民主化を求めた大衆を虐殺した1947年の「二二八事件」などが描かれていて、台湾の歴史を知ることができる作品となっているが、書籍「街道をゆく(40)台湾紀行」を読んでから鑑賞するともっといいかもしれない。

Dsc08405

写真は、戦前に日本政府が建設した(焼失し戦後に修復)ルネッサンス様式の総督府。

(かつての台湾総督府)

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写真は「二二八記念公園」。台北駅の近くにある。

ちなみに、映画の舞台は台湾の基隆(Keelung)など。ロケ地は九分(Jiu Fen)など。

「悲情城市」のロケ地については、こちらのサイトに写真付きで紹介されている。

Dsc08382

写真は「基隆港」

日本からの客船が到着する海の玄関口で、与那国島はすぐ近くだ。

これらの写真は数年前に撮影したもの。

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ジョンレノン、映画「PEACE BED」(The U.S. vs. John Lennon)、ヒルトン・アムステルダム・ホテルなど。

映画「PEACE BED 」(The U.S. vs. John Lennon)(監督はDavid Leaf と John Scheinfeld)

書籍「ジョン・レノンの真実―FBI監視記録DE‐4~HQ‐33」に掲載されていたとおり。

ベトナム戦争の時代、ニクソン政権とFBIがジョンレノンを要注意人物として監視や盗聴をしきた事実を映像で見ることができる。

映画の内容は邦訳より、「The U.S. vs. John Lennon 」という感じ。

THE U.S. vs JOHN LENNON DVD THE U.S. vs JOHN LENNON

販売元:LIONS GATE
発売日:2007/02/13
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有名なBED INアムステルダムのヒルトンホテル

この映画を見て、9.11の後、「イマジン」が放送自粛となったことを思いだした。

それから、2007年10月9日、アイスランドのテイキャビクにイマジン・ピース・タワーができた。

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観光実務ハンドブック「フィルムツーリズム」

観光実務ハンドブック Book 観光実務ハンドブック

販売元:丸善
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書籍「観光実務ハンドブック」((社)日本観光協会編)が発売されたようです。

観光実務を体系的・網羅的にまとめた本。

ちなみに、『フィルムツーリズム』と『コンベンション』の執筆は谷国大輔。(私です。)

真面目な本で、値段がとても高い。

(こんなに高いと地元の図書館で取り寄せて読むしかないと思いますが・・・。)

このブログとはちがって、ちょっと学問的にフィルムツーリズムを論じてみました。

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映画「千年旅人」のロケ地、能登半島の(旧)門前町

千年旅人 Book 千年旅人

著者:辻 仁成
販売元:集英社
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映画「千年旅人(せんねんたびと)」(辻仁成監督)

プロデューサーは河井真也氏。

出演は、豊川悦司、yuma、大沢たかお他。

儚さのなかにも、魂のつながりが感じられる作品で、映像が心に残る。

穏やかだったり、荒々しかったり、日本海独特の海。

能登の黒瓦、鄙びた街並み。

「この美しいなロケ地はおそらく、「やせの断崖」のある能登半島の(旧)富来町あたりだろう」と思ったが、やはりそのとおりであった。

エンドロールに、ロケ協力、能登半島の(旧)門前町とある。

協力には、輪島市、「琴ヶ浜の泣き砂を守る会」なども載っている。

Dsc05008

写真は、能登半島の(旧)富来町で撮影。

ロケ地は、ここからバスで北上したあたりにある。

ロケ地をバスで通過した。

乗客は私一人。

「能登はやさしや土までも。」

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コ・フェスタ2007(いよいよ中盤・開催中:9月19日~10月28日)

コ・フェスタは、JPAPAN国際コンテンツフェスティバルのこと。

コ・フェスタとは。

チラシをみると、

「コ・フェスタは、ゲーム、アニメ、マンガ・キャラクター、放送、音楽、映画の各業界のコンテンツが一堂に会する、世界最大規模の統合的コンテンツフェスティバルです。コ・フェスタのキーワードは連携・リンクです。各分野が連携し合うことで新しい発想と新しいマーケットを生み出し、広く海外にアピールしていくことを目指します。」という内容の催し。

多くのプログラムが用意されている。プログラムは18。

その中の一つが、

1)劇的3時間SHOW

東京は表参道のスパイラルホールで10/1~10/10まで開催された。

Dsc00257

スパイラルホールの前で撮影。

映画関係では、

映画監督(映画作家)の河瀬直美氏

スタジオジブリプロデューサーの鈴木敏夫氏

映画プロデューサーの李鳳宇氏、一瀬隆重氏

フジテレビの亀山千広氏などが3時間にわたって語った。

それから、

2)JAM2007(Japan Animation Contents Meeting 2007)

秋葉原UDXで10/4~7まで開催された。

アニメ・ビジネス・ショーケースやシンポジウムなど。

Dsc00243

秋葉原UDXで撮影。

そして、

3)国際コンテンツ人材交流・育成セミナー(9/20,9/21,10/26,10/27)

9/20と9/21には、

映画「スパイダーマン」シリーズなどで知られるプロデューサー、アヴィ・アラッド氏。

映画「ラストエンペラー」や「戦場のメリークリスマス」などのプロデューサー、ジェレミー・トーマス氏。

映画「墨攻」のプロデューサー、井関惺氏

映画「初雪の恋」のプロデューサー、韓国のジョナサン・キム氏のセミナーがあった。

いずれも、世界的なプロデューサーである。

4)第20回東京国際映画祭(10/20~10/28)

5)秋葉原エンタまつり(10/20~10/28)

6)第4回東京アジア・ミュージックマーケット(10/15~19)

7)東京コンテンツマーケット2007(10/25~10/26)

8)ジャパン・ロケーション・マーケット2007(10/22~10/24)

Jlm2007_logo

など、コ・フェスタは中盤にさしかかっているが、これからも魅力的なプログラムが目白押しだ。

その中でも、ジャパン・ロケーション・マーケットについては、このブログとも関連性があるので追って詳しくご紹介したい。

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「映画が見た東京」、映画「書を捨てよ町へ出よう」のロケ地は東京

書を捨てよ、町へ出よう (角川文庫) Book 書を捨てよ、町へ出よう (角川文庫)

著者:寺山 修司
販売元:角川書店
Amazon.co.jpで詳細を確認する

映画「書を捨てよ町へ出よう」(寺山修司監督)

美輪明宏さんが出演され、偉才を放っている。

若さというやり場のないエネルギーが満ちあふれたいわゆる実験映画。

寺山修司さんが初めて監督した1971年の長編映画。当時の社会を映し出している。

また、時代を突き動かす空気というもの。それが、ある意味で個人を追い込んでいくものであるということを否応にも感じてしまう作品だ。(だから、疲れる作品。)

そして、当時の東京の空気を感じることができる作品。

映画の中身について言えば、

「ひょっとすると、この映画に登場する時代の空気は、その次の時代に、”しらけるということ”を身につけさえたのかもしれない。」

(「しらけ世代」は、この時代の青臭い理屈の無意味さに対するアンチテーゼが生んだのではないか。)

例えば、学生時代の部活など、学校の先輩から受ける様々な影響は案外に理不尽なもので、その影響は一時的には避けられない。(もっと上の世代なら全く違うアドバイスをするだろうに、ちょっと年上の先輩(まだ子供)が、聞くに堪えない青臭い説教を、少し年下の後輩(同じような子供)にしたりしている。これはいつの時代も同じである。)

当時の青年たちは、「戦争に負けた大人たち」を小馬鹿にしながら、「戦争に勝った敵国」にも反発している。

だから、この映画に漲っている「戦争に負けた国の苦しみ」の行き場がどこにもみつからない。

その自己矛盾こそが、青年どうしで空虚な理屈を言い合うエネルギーを生み出す源泉だったのかもしれない。

そういったことに対する反動が、その後の「しらけ」だったり、「ひょうきん」というかたちになっていたのではないか。(いいかえれば、1970年代の終わり~1980年代にかけての「ガラスのジェネレーション、さよならレボリューション」)

このような、そういう鬱屈した1970年頃の空気を、リアルなものにすることに成功させているのがロケ地としての東京だ。

おそらく、高田馬場とか池袋とかの近くだろうか。

都電が走っている。

映画の中のセリフが確かならば、主人公一家が住むアパートは「新宿区戸塚一丁目」あたり。

ロケ撮影のリアルな映像が、この実験映画に現実味を与えているのだ。

この映画、東京国際映画祭(2007年)の「映画が見た東京」で上映される。

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映画「珈琲時光」と神田神保町

珈琲時光 DVD 珈琲時光

販売元:松竹ホームビデオ
発売日:2005/03/29
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一青窈さんと浅野忠信さん主演の映画「珈琲時光」(侯孝賢(ホウ・シャオシェン)監督)。

個人的に縁の深い神田神保町が舞台となっているので見ていて楽しい。

歴史のある喫茶店「エリカ」

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500円の天丼が安くておいしい天ぷらの「いもや」

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それから、和本、書道、民俗・郷土史等の文系学術書専門店

誠心堂書店」などでロケが行われている。

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現在、撮影が行われた「エリカ」はお休みしているが、

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神保町の交差点にちかくにあるほうの「エリカ」はやっている。

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神田神保町には、旧友が何人も住んでいるし、私も近くで暮らしているので時々自転車でぶらぶらと古書店巡りなどをしている。

映画「珈琲時光」は、普段着の東京の暮らしが感じられる。

生活のリズムがなんとも東京らしい。

神田神保町は、まさに東京のなかの東京、とても好きな街である。

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映画「カルメン故郷に帰る」のロケ地、浅間牧場など

カルメン故郷に帰る DVD カルメン故郷に帰る

販売元:松竹ホームビデオ
発売日:2007/06/27
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木下恵介監督「カルメン故郷に帰る」

松竹映画三十周年を記念した日本初のカラー映画である。

「日本初の総天然色映画」と宣伝された。

富士フィルム(国産のフィルム)で撮影された作品で、1951年の製作。

戦争が終わってまだ6年しかたっておらず、映画では「リンゴの唄」なども歌われている。

カラーでの撮影には明るさが必要なため、ほとんどすべてがロケーション撮影だったようだ。

ロケ地は浅間山の麓で北軽井沢の浅間牧場や草軽電鉄「北軽井沢駅」など。

川本三郎著「日本映画を歩く」にロケ撮影の様子が紹介されている。

日本映画を歩く―ロケ地を訪ねて (中公文庫) Book 日本映画を歩く―ロケ地を訪ねて (中公文庫)

著者:川本 三郎
販売元:中央公論新社
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(ちなみに、この本はおすすめ。)

製作日数は延べ10ヶ月。ロケーション撮影は8月から10月末まで行われたようだ。

初めてのカラー撮影なので、失敗したときのためにモノクロでも撮影したため、3ヶ月もかかったそうだ。

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映画「秋刀魚の味」とスタジオ撮影

小津安二郎監督の遺作となった「秋刀魚の味」

小津安二郎映画音楽集~小津安二郎生誕100年記念企画作品~ Music 小津安二郎映画音楽集~小津安二郎生誕100年記念企画作品~

アーティスト:映画主題歌
販売元:日本クラウン
発売日:2003/09/25
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映画に秋刀魚が出てくるわけではないが、否応なしに訪れる老い、それぞれの年齢にふさわしい暮らしがある。

人生の旬とは何か、それがいつなのかは、それぞれが自分で思うことであるに違いないが、「秋刀魚」とは、旬を暗示するメタファーとしての「秋刀魚」なのだろうか。

書籍「小津安二郎新発見」の中に、映画「秋刀魚の味」で監督から演技の指導を受けた、女優の岩下志麻さんの言葉を見つけた。

小津安二郎 新発見 (講談社プラスアルファ文庫) Book 小津安二郎 新発見 (講談社プラスアルファ文庫)

販売元:講談社
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「(前略)人間は悲しいときに泣く、うれしいときに笑うとは限らない。何でもない顔をしていても悲しいかもしれないし、うれしいかもしれない。感情をもっと抑えて芝居することを(後略)・・・」

こういった話からも、小津作品の銀幕の中には、凝縮されたかすかな心の動きが、画面の奥に隠れるように宿っていて、嘘っぽく写るといわれるスタジオ撮影を超越した何か大きな力が映像のどこかに潜んでいることがわかる。

小津安二郎監督の作品は、俳優のちょっとした表情を含め、画面の風景が、いつまでもはっきりと心に残るから不思議だ。

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文学を活かしたコンテンツツーリズム「金子みすゞの仙崎」

金子みすゞの仙崎

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金子みすゞが育った部屋が残っている。

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商店街ではそれぞれのお店や民家が金子みすゞの詩を飾っている。

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角の乾物屋とある。

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まちごと「金子みすゞ」のミュージアム。

なんとも心に残る町であった。

文学というコンテンツを活かしたコンテンツツーリズム。

映画のロケ撮影なども行われていた。

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世界の映画祭をゆく

世界の映画祭をゆく(草壁久四郎著)

世界の映画祭をゆく Book 世界の映画祭をゆく

著者:草壁 久四郎
販売元:毎日新聞社
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映画祭の裏話がわかる本。

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「伊豆の踊子」と波浮「みなとや旅館」

川端康成の「伊豆の踊り子」が芸を披露したのが、伊豆大島の「みなとや」旅館。

文学の舞台が、映画の舞台になった。

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伊豆大島の波浮で撮影。

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ジャパニーズホラーがハリウッドへ

日本人がプロデュースし全米1位を獲得した映画「THE GRUDGE」(邦題「THE JUON/呪怨」)。

東京の成城学園駅徒歩10分にある東宝スタジオでも撮影され、ロケーション撮影は東京の青山などでも行われた。

そのプロデューサー、一瀬隆重氏が書かれた「ハリウッドで勝て!」。

ハリウッドで勝て! Book ハリウッドで勝て!

著者:一瀬 隆重
販売元:新潮社
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「ハリウッドビジネス」の最前線、日本とアメリカの映画製作のシステムがどれほど違うかが、身近な感覚でわかる本でおすすめ。

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「スパイゾルゲ」のロケ地と「私が生きたふたつの日本」

映画「スパイ・ゾルゲ」、篠田正浩監督の作品である。

スパイ・ゾルゲ DVD スパイ・ゾルゲ

販売元:東宝
発売日:2003/11/21
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構想に10年、製作費は20億円という大作で、

ロケ地は国内にとどまらず、ドイツのベルリンや中国の上海などで撮影が行われている。

ドイツのベルリンでは、東京のドイツ大使館のシーンなどが撮影されたそうで、

ロケ撮影で使われたベルリンの建物は1930年代の由緒ある建築である。

第二次世界大戦中はナチスドイツが使用し、第2次世界大戦後はアメリカ軍の首脳部がおかれたという。

また、中国の上海での撮影は、スタジオ「上海電影製作所」などで10日間にわたって行われている。

ちなみに、日本国内のロケ地は全国各地に及んでいる。

刑務所のある北海道網走市

昭和30年代の街並みを復元した「いつか来た道」で有名な広島県のみろくの里

厳島神社のある広島県の宮島

奈良市の興福寺

奈良市の東大寺

日光市の日光東照宮

三重県桑名市の六華苑

旧帝国ホテルがある愛知県犬山市の明治村

SLで有名な静岡県の大井川鉄道

ロケ地としてよく使われる横浜市の大倉山記念館

横浜市の横浜能楽堂

旧武州銀行川越支店(川越商工会議所)

埼玉県本庄市

福岡県の門司市と北九州市

長野県上田市などである。

この映画を深く理解するのには、

私が生きたふたつの「日本」 Book 私が生きたふたつの「日本」

著者:篠田 正浩
販売元:五月書房
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が参考になるとおもう。

それから、「スパイ・ゾルゲ」の撮影には、「スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃」と同じデジタルハイビジョンカメラ(HD24P)が使用されたようで、CGによるカットは980に及んでいるという。

(参考:スパイ・ゾルゲの公式サイトなど)

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世界の映画ロケ地大事典。「ジョーズのアミティ島はマサチューセッツ州沖合のマーサズ・ヴィニヤード島」など

世界の映画ロケ地大事典(トニー・リーヴス著・齋藤敦子監訳)という約850ページにも及ぶロケ地案内がある。

風と共に去りぬ、ローマの休日、スター・ウォーズ、ジョーズ、ロッキー、クレイマー・クレイマー、影武者、ハリー・ポッターなど、世界各国で制作された1600本以上の映画のロケ地を、9年もの歳月をかけて取材した分厚い事典である。

見ると、巻末には、ロケ地別索引があり、国、州、都市、諸島などで仕分けがされていて、どこでどのような映画が撮影されたのかが一目で分かるようになっている。

例えば、ジョーズについてみると、「舞台となる架空のアミティ島はマサチューセッツ州の沖合に浮かぶ都会人のおしゃれな隠れ家、のマーサズ・ヴィニヤード島」などと紹介されている。

「この有名なリゾートは、捕鯨基地として栄えた19世紀から町並みが比較的よく保存されており、映画のロケ地もそのまま残っている(抜粋)」ようである。

ちなみに、日本を調べると、怪獣王ゴジラ、影武者、007/私を愛したスパイ、007は二度死ぬ、ブラックレイン、乱などが挙がっている。(著者が英国生まれのためか、欧米の作品、特に英語圏の作品が多くなっている。おそらくは、日本語のためか、残念ながら数が少ない。)

この本の面白いところは、「予算の制約などで現地で撮影できなかった」などの裏話がふんだんに書いてあることである。

このシーンは、スタジオのセットで済ませたとか、そのシーンはロケ地で撮らずに別の場所で撮影してそれらしく見せたとか詳しく紹介されている。

例えば、「007は二度死ぬ」のロケ地は、日本、ジブラルタル、バハマ、スコットランド、スペインとなっていて、「オオサト化学の本社は千代田区紀尾井町4-1にあるホテル・ニューオータニ、1964年の東京オリンピック開催に際して建てられた四角く巨大な豪華ホテルだ。(抜粋)」などと事細かに紹介されている。

また、続けて、「ヘルガ・ブラントの飛行機を日本のどこかに不時着させる場面はスコットランドのフィンメーで撮影・・・」

さらには、「麓にブロフェルドの隠れ家のある活動休止中の火山は、日本の南にある島、九州(やはり、九州のことを日本の南にある島と紹介している。)の南にある鹿児島に近い霧島国立公園にある。隠れ家の屋内場面は、パインウッド撮影所の敷地にテントを張り、その下に100万ドルかけて巨大なセットを造って撮影した。(抜粋)」などと続いていてロケーション撮影の裏話を知ることができる。

Dsc05531

鹿児島で撮影した桜島。映画007に出てくる活動休止の火山とはこの桜島。

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