« ロンドンほかの地ムービー「この自由な世界で(It's a Free World)」、ロケ地はイギリス・ポーランド・ウクライナ | トップページ | ロンドン・バッキンガムシャー州・ハートフォードシャー州の地ムービー「時計じかけのオレンジ(A Clockwork Orange)」 »

2009年8月11日 (火)

東京都北区の地ムービー「ブタがいた教室」、ロケ地は桐ヶ丘中学校・赤羽台西小学校など

ブタがいた教室 (2枚組初回限定版) [DVD] DVD ブタがいた教室 (2枚組初回限定版) [DVD]

販売元:NIKKATSU CORPORATION(NK)(D)
発売日:2009/04/10
Amazon.co.jpで詳細を確認する

映画「ブタがいた教室」(前田哲監督)

出演は、6年2組の生徒役の子供たち、妻夫木聡、、原田美枝子、大杉漣、田畑智子、池田成志、戸田菜穂、北区の皆さん、香取市に皆さん、千葉県香取市立府馬小学校の児童・職員の皆さん他。

脚本は小林弘利。

原案は黒田恭史。(実際に行った先生)

1990年から約900日、大阪の小学校で実際に行われた授業を映画化。

実話は、「ブタを飼って、大きくなったら、みんなで食べよう。」ということで、「食」の意味を考えさせるのが目的だったのだが、映画を見る限り、議論は違った方向に及んでいる。

なぜなら、豚のピーちゃんが、もはや、子供達のクラスメートになっているからだ。

映画は、まるで実話のドキュメンタリーを見ていると錯覚してしまうほど、真に迫っている。

なぜだろうと思って調べると、やはり理由があった。

映画のキャストとして出演している子供たちは、、セリフが白紙のままの脚本を渡されていて、自分の言葉でセリフを言っていたのである。

そして、自分の言葉でセリフが言えたのは、子供たちが、実話のように、豚のピーちゃんと心のふれあいを約半年間、実体験しているからだ。

そのうえ、生徒役の子供たちは、「個性があって、自分の考えを持っていて、自分の言葉で話せて、感情をきちんと表現できること」という選考基準で選ばれている。(オーディションを通過している)

つまり、6年2組の生徒たちの議論は、演技というより、ドキュメンタリーに近いものだったのである。

この作品は、ある意味、ドキュメンタリーである。

そのうえ、この作品の原案は実話だ。

だから、関心は自然、映画のストーリーというより、むしろ実際に起こった出来事に向かう。

その実話に対する、意見はいろいろあるだろう。

私の素直な感想は、こんなふうだ。

「この子供たちの議論は、ペットとして可愛がっている犬や猫、それを食べるかどうかを話し合っているのと同じでなないか?」

「図らずも、ペットとして育てたのだから、最後までペットとして愛情を注ぐべきではないか?」

「いや、ピーちゃんは、(ピーちゃん自身は、理解できていないかもしれないが)、子供達にとっては、ペットというより、一緒に育った仲間であり、もはやクラスメートだ。(そのように話している子供が多い。)」

だが、先生と大人たちは、固定観念で「豚は食用でペットではない。」と判断したのだろうか?

クラスメートのピーちゃんを食肉センターに送った。

だが、もし、ピーちゃんが犬や猫だったらどうだろう。

日本では、ペットの犬や猫を食肉センターになど送ることなど、できるはずはない。

しかし、犬や猫を食べる民族・国は、この地球上にはある。

そんなふうに考えを巡らすと、

「クラスメートのように一緒に育ったペットのピーちゃんを、食肉センターに送る。」ということが行われたことに対して、大きな疑問が湧いてくる。

とりわけ、子供たちは、まだ、人格が出来上がった大人ではない。

ブタのピーちゃんと、一緒に背が伸び、心を育くみ、共に成長した仲間なのだ。

生物としての成長が止まり、感受性も鈍くなった大人たちとは違っている。

こんな風に考えれば、この映画の原案、つまり実際に行われた授業は、決して愉快な出来事ではない。

無垢な子供たちへの行きすぎた食育、価値観の押しつけ、多数決といいながら、ちょうど半数の子供たちの意見を踏みにじる無神経さが、どうしても不愉快。

ロケーション協力は、

東京都北区、北区教育委員会、北区桐ヶ丘中学校、北区立赤羽台西小学校、赤羽台団地自治会、赤羽台フットボールクラブ、赤羽台バレーボールクラブ、UR都市機構、香取市立府馬小学校、千葉県小見川少年自然の家、香取農林振興センターほか。

取材協力は、世田谷区立北沢小学校、横花市立奈良小学校五年組ほか。

|

« ロンドンほかの地ムービー「この自由な世界で(It's a Free World)」、ロケ地はイギリス・ポーランド・ウクライナ | トップページ | ロンドン・バッキンガムシャー州・ハートフォードシャー州の地ムービー「時計じかけのオレンジ(A Clockwork Orange)」 »

コメント

 今日テレビでこの映画を見て、全く同じ感想を
もち、ネット上ではどのように評価されているの
かを探していましたら、こちらを見つけました。
 農業高校の生徒達なら、年齢もシチュエーションも無理がなかったのに。職業教育とは無関係な小学生には全く無理のある話です。
 農家で買われていたニワトリをおじいさんが目のまえで絞めてショックを受け、来客と食った水炊きが以外に旨かった、という生きることの矛盾についての体験は、40年以上前の日本では比較的よくある話でした。
 しかし、この小学生の話は、こうしたかつての実生活で起きた必然性のある出来事とは全く似て非なる体験だといえます。
 「ペットとして育てたピーちゃんを食肉センターに送る」  言いえて妙です。
 
 現実から切り離された先生の観念によって強いられたこの歪んだ体験は、食育の意味について考えるというよりは、偏った考えを幼い子供に押し付ける教育はあまり良い結果をもたらさないよなあ、という結論を大人になったかの小学生にもたらす可能性が強い。
 それこそがこの授業の教育的効果のような気がしますね。 

投稿: 私は愛犬を食えない | 2011年6月17日 (金) 23時55分

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 東京都北区の地ムービー「ブタがいた教室」、ロケ地は桐ヶ丘中学校・赤羽台西小学校など:

« ロンドンほかの地ムービー「この自由な世界で(It's a Free World)」、ロケ地はイギリス・ポーランド・ウクライナ | トップページ | ロンドン・バッキンガムシャー州・ハートフォードシャー州の地ムービー「時計じかけのオレンジ(A Clockwork Orange)」 »