映画「選挙」(製作・撮影・録音・編集・監督は想田和弘)
出演は、山内和彦、自民党川崎支連・後援会・うぐいす嬢・東大卒の同窓の皆さん、川崎市の皆さん他。
日本の実態を、そのまま映しだしたドキュメンタリー。
本作品の編集には、ナレーション、テロップ、音楽、CGによる加工、,特殊効果音などは一切ないらしく、それだけに真実味がある。
そのようなものがなくても、撮影した素材の組み合わせによって、つまりは編集によって、映画がいかようにもなること、伝えたいことが表現できることを実感できる作品。
編集は約10ヶ月間、監督が自らニューヨークの自宅で行っている。 (撮影素材は約60時間分)
高度に自動化された駅の改札口。
満員電車に乗れない乗客を駅員の人たちが押し込む風景。
その押し込む行為をするために、ホームを徒競走のような早さで走ってくる女性の駅員さん。
神棚を前に、神主さんが御祓いをしている。
地域の老人会、お祭り、ラジオ体操などに参加する候補者。
政治団体の後援会の人たちの雰囲気が独特で、いかにも政治好きという感じ。
候補者の奥さんが、「候補者が手袋するわけ」をなんでだろうと素朴な疑問をなげかける。
政治の世界では、奥さんを、「女房でもなく、妻でもなく、家内という。」と教えられる奥さん。
当選したときの万歳三唱。
街頭で誰も聞いていなくても、自分の名前を連呼しつづける候補者。
下校途中の子供達が選挙カーに群がり、手を振ってバイバイしている。(これはかわいい。)
映画「ロストイントランスレーション」を彷彿させる。
海外から見た日本の不思議さが、あちらこちらに映っているのだ。
また、候補者は、東大の同窓生たちに久しぶりにあって握手の嵐。
「別人格になっていますから」と素直にいっている。そう、明らかにハイになっているようで、
だが、こういうハイな感覚は、選挙に立候補すれば、どの候補者も大なり小なりなってしまうものだと聞いた。(とある議員から。)
街頭で自ら差し出した握手を、無視されたり、拒否されるのはつらいに違いなく、候補者は、ついついケンタッキーフライドチキンのカーネルサンダースのおじさんと握手したりしている。
公職選挙法があるため、選挙のプロのアドバイスが必要なようで、それもあってか、候補者は、選挙のプロに机を叩いて怒られても「すみませんでした」とただ謝って堪え忍んでいる。
候補者はおよそ政治家らしくない。
でも、その政治家らしくない人のよさ、押しの弱さが、取り巻きの本性を引き出し、本音の言葉がポンポンと飛び出している。
党から派遣された選挙のプロや支援者は、言いたい放題だ。
それにしても、どうして、こんなドキュメンタリーが撮れたのか。
その理由の一つは、立候補した山内和彦さんと相田監督とは大学の同窓だからだろう。
つまりは、友だちだから、気を許している。相田監督は山内さんの車に同乗して撮影したりしているのだ。
ロケ撮影は、2005年10月7日~23日の投票日までで約2週間。(撮影日数は12日間)
ロケ地は川崎市内。
東急線田園都市線の宮前平駅、溝の口駅のホーム他。
何度も見てしまう日本の本質を映しだしたドキュメンタリー。
最近のコメント